肌と腸内環境はつながっている
近年の研究で、腸内環境と肌はお互いに密接な関係にあることがわかってきています。
例えば、アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患の発症には、腸内の細菌が深くかかわっていることが報告されています。
腸内に棲みついている腸内細菌の集団のことを「腸内フローラ」、同じように皮膚は「皮膚フローラ(スキンフローラ)」といいます。この細菌は、腸内で約100兆個、皮膚だと約1兆個存在するいわれています。
健康な腸内環境や肌は、構成する細菌の種類が関係しており、両方とも善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分けられ、それぞれ存在する数のバランスが重要とされています。
この「腸内フローラ」と「皮膚フローラ」がお互いに影響しあっているため、両方のバランスを整えることが大切です。
なぜ腸内環境がお肌に影響するの?
腸内環境の状態が肌に影響を与える理由は、腸の免疫機能が大きく関係しています。
腸内には、外敵から体を守ってくれる「免疫細胞」の約6~7割が集まっており、全身の健康に深く関わっています。
腸内フローラのバランスが整っていると腸内の免疫細胞が活性化され、免疫機能が維持されることになり、逆に腸内フローラのバランスが崩れると免疫に異常が起こり、アレルギー反応や自己免疫疾患を引き起こす原因となる可能性があります。
このことから炎症などの肌トラブル、特にアトピー性皮膚炎などのアレルギーが関与する皮膚疾患では、腸内環境のケアも大切です。
また、腸内フローラと皮膚フローラはお互いに密接な関係にあることから、腸内フローラのバランスを整えれば、皮膚フローラのバランスも整うと考えられています。腸内環境の乱れが肌に影響するという研究が多い中、近年では肌トラブルから腸内環境へ影響しているという研究報告もされるようになってきました。
腸にカビ??
実は人の皮膚や腸、口の中にも細菌の他に常在菌として「カンジダ菌」というカビの一種が存在しています。
このカンジダ菌は、腸内フローラのバランスが崩れたり、免疫機能が低下すると増殖し、身体に悪影響を与えます。消化不良、腹部膨満感などの腹部症状以外にも、皮膚のかゆみや発疹などの皮膚症状やアレルギー症状が起こる可能性があります。
健康な肌を作るためにも肌のケアだけでなく、普段から食事などで腸内環境を整えることが大切です。
腸カンジダ対策の食事の注意点
- 糖分や脂肪の多い食材を控える
- 化学調味料や保存料などの食品添加物が多く含まれる食材を控える
- アルコールを控える
- グルテン(パン、ピザ、パスタ、うどんなど小麦製品)とカゼイン(牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品)を控える
- 発酵食品を控える
腸カンジダの対策として、野菜や海藻など食物繊維の豊富な食品を積極的に食べるようにしましょう。
また、腸内フローラのバランスを崩す要因は、食事だけでなくストレスも関係しているといわれています。ストレスを蓄積させないために、適度な運動や十分な睡眠を意識し、生活習慣を改善しましょう。